【インタビュー】高齢者の生活をより豊かで快適にする施設「富山県介護実習・普及センター」
はじめに
日本の高齢化率は、平均寿命の高齢化や少子化による出生率の減少により増加を続けています。
そのような中で、地域の高齢者の方やそのご家族、介護事業者に対し、福祉用具や介護に関する情報提供などを通して支援を行っている施設が「富山県介護実習・普及センター」です。
今回の記事では富山県介護実習センターがどのような施設なのか、インタビューを通して迫っていきたいと思います。
高齢者の生活をサポートする
4つの支援
- ― 施設の概要と目的をおしえてください。
-
富山県介護実習・普及センターでは、県民の皆様が高齢になっても、障害があっても自立した生活・在宅生活を安心して送ることができるよう支援する以下の4つの事業を行っています。
- 1.福祉用具の展示
- 展示場では約750点の福祉用具を展示しておりベッドや車いすなどの福祉用具を見て、触れて、試していただけます。モデルルームでは、その人に合った手すりの高さを測定したり、段差解消機や階段昇降機などの福祉機器を体験することができます。
- 2.福祉用具・住宅改修相談
- 福祉用具を活用したり、住まいを改修したり、ちょっとした工夫で安全に快適に暮らすためのご相談に応じます。必要に応じて理学療法士、作業療法士、建築士等のチームによる出張相談(自宅訪問)も行っています。
- 3.福祉用具の情報提供
- 福祉用具に関する情報や福祉制度・介護に役立つ情報等、相談内容に合わせて情報を提供しています。ホームページによる情報提供も行っています。
- 4.展示している福祉用具を使用した
体験講座、研修の開催 - 福祉用具の使い方や選び方を体験を通して学ぶ講座や、介護に関する講座を開催しています。高齢者疑似体験や車いす体験もできます。また、介護・福祉施設等の職員向けに、福祉用具に関するより専門的な研修も行っています。
実際に体験や相談ができる
豊富な福祉用具
- ― どういったものを展示しているのでしょうか。
福祉用具展示場には、歩行車、歩行器、車いす、ベッド、介護ロボット、コミュニケーション支援機器、排泄関連の展示コーナー、などがあります。
浴室には、入浴用の椅子、バスボード、バスリフトなど体験できるよう展示しています。
モデルルームには、生活の中でどのように使えばよいか体験・相談に応じることができるように廊下、食卓、浴室、洗面所、寝室、キッチンなどを設置しています。
介護関係者が多数来訪
- ― どういった方がいらっしゃるのでしょうか。
また、1日にどのくらいの方がいらっしゃるのでしょうか。 相談者ご本人様、ご家族様、ケアマネ、福祉・医療関係者、貸与事業者 などの方々が1日平均1~3名程いらっしゃいます。令和2年度はコロナ禍の為来場者数が減少しておりますが、年間来場者数は以下のとおりです。展示場・モデルルームは土日祝日も見学が可能です。
展示場 | モデルルーム | 年間来場者数 | |
---|---|---|---|
平成30年度 | 786 | 71 | 857 |
令和元年度 | 702 | 77 | 779 |
令和2年度 | 399 | 76 | 475 |
一般の方の介護ロボット体験も可能
- ― 展示のほかにどのようなことを行っているのでしょうか。
当センターでは本年度も前年度から継続して、厚生労働省「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム事業」の相談窓口として、介護現場やロボット開発企業の方からのご相談対応、介護ロボットの試用貸出、体験展示を行っています。 それらを踏まえ介護現場や一般の方に広く介護ロボットを体験していただくことを目的に、展示場やモデルルームで、全20種類の介護ロボットも展示しております。(常設展示、期間限定レンタル展示を含む)富山、石川、福井、岐阜を担当エリアとしておりますので、関心のある方はぜひお立ち寄りください。
また、一部の研修会では研修のプログラムに介護ロボットを体験、紹介する時間を盛り込んでいます。今年5月、当センター主催の福祉用具・住宅研修でケアマネージャーの方34名を対象に、「まもる~のHOME」をご紹介いたしました。 機器一式、ラミネート、パンフレット、ベッド設置写真を活用し研修生が使用場面のイメージを膨らませることができるよう、ご紹介いたしました。
福祉用具に多くの人が触れられるよう発信していきたい
- ― 今後の展望をお聞かせください。
現在の展示場は20年程前に会館の新築に伴いつくられました。
展示品の入れ替えは行っていますが和室がメインのつくりとなっております。 私たちの暮らしのスタイルも洋室中心となっているため今後改修を行っていくことを考えています。
そしてより多くの皆様に福祉用具を見て、触れて、試すことができるように展示場PRしていきたいと思っています。
おわりに
福祉用具や介護ロボットを活用することで、より快適な暮らしにつながったり、現状の課題を解決できることもあります。
富山県介護実習・普及センターは、展示だけでなく、相談や体験を通して福祉用具や介護ロボットに実際に触れることができる貴重な施設です。
生活や介護のことでお困りの方、福祉用具や介護ロボットに興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
※「まもる~のHOME」の展示は2021年9月30日(木)までを予定しています。詳しくはこちら
- 富山県介護実習・普及センター
- 〒930-0094
富山市安住町5-21
富山県総合福祉会館(サンシップとやま)2階
TEL.076-432-6305 FAX.076-432-6307
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杉山 貴子
介護ロボットメーカー勤務。カスタマーサクセスを担当。
介護に関するコラム記事を執筆中。