【なり方や講座の様子までご紹介!】
認知症の方や家族の応援者! 認知症サポーターとは?
はじめに
2007年に超高齢化社会を迎えた日本。その後も高齢者人口は増え続け、2021年10月時点には総人口に占める65歳以上の割合が28.9%となりました。
高齢になると様々な疾患を発症しやすくなるものですが、その中でも代表的なものが認知症です。
2025年には高齢者5人に1人が認知症になり得るとまで言われています。つまり、みなさんの身近な方が認知症になる可能性も0ではない、認知症の問題は決して他人事ではないということです。
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では、そういった中で我々ができることは一体何なのでしょうか。
今回の記事では、認知症を理解し、認知症の方や家族を見守る認知症サポーターについてお伝えしていきます。
概要から実際に講座を受講してみた感想までご紹介しておりますので、認知症サポーターについて気になっている方、受講しようか迷っている方は是非最後までご覧ください。
認知症サポーターって?
認知症サポーターとは、全国キャラバン・メイト協議会が養成する認知症サポーター養成講座の講師役(キャラバン・メイト)による認知症サポーター養成講座を受講し、認知症サポーターとして認定された人を指します。
2015年に政府が掲げた「認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進」の一環でスタートした施策で、認知症の方への理解を深め、家族や地域が一丸となって認知症の方を支えることを目的としています。
認知症サポーターの役割
認知症サポーターにはどういった役割が期待されているのでしょうか。
厚生労働省は、認知症サポーターに期待されることとして次の5つを挙げています。
- 認知症に対して正しく理解し、偏見をもたない。
- 認知症の人や家族に対して温かい目で見守る。
- 近隣の認知症の人や家族に対して、自分なりにできる簡単なことから実践する。
- 地域でできることを探し、相互扶助・協力・連携、ネットワークをつくる。
- まちづくりを担う地域のリーダーとして活躍する。
こちらを見てもわかるように、認知症サポーターはなにか特別なことをする人ではありません。認知症を正しく理解し、認知症の方や家族が困っているときに手を差し伸べる「応援者」なのです。
認知症サポーターになるには?
ここからは認知症サポーターのなり方についてご紹介していきます。
認知症サポーターのなり方
認知症サポーターになるには、前述したように認知症サポーター養成講座を受講する必要があります。養成講座は、地域の自治体や企業・職域団体等が実施しています。受講にあたり費用は無料です。
まずは、「お住まいの地域 認知症サポーター」などでWeb検索をし、受講先が決まったらその団体指定の方法で受講申し込みを行いましょう。
受講申し込みを行うと、当日の集合時間や集合場所、持ち物などを案内してもらえます。そして、当日に講座を受講することで、認知症サポーターになることができます。
試験や実技などはありませんのでリラックスして受講しましょう。
認知症サポーターになれる人
認知症サポーターになるには特別な資格やスキルは一切必要ありません。
90分間の養成講座を受講すれば、年齢や性別、職業を問わず誰でも認知症サポーターになることができます。
認知症サポーターの養成状況
認知症サポーターキャラバン公式サイトによると、2023年6月30日時点で認知症サポーターの数は14,645,915人とのことです。
こんなにもたくさんの方が認知症の方に寄り添おうとしていると思うと心強いですよね。
さて、みなさんは認知症サポーターに多いのはどのくらい年代の方だと思いますか?
実は、一番多いのは10代以下の方なのです。
なぜ10代以下の方が多いのかというと、養成講座を行事として取り入れている学校が多いためです。幼いころから認知症について知っておけると、認知症の方が困っている場面に出会った時も安心ですよね。
学校だけでなく、銀行やスーパーマーケットで認知症サポーター養成講座を取り入れているケースも増えているそうです。
認知症の方が銀行やスーパーマーケットを訪れたときに職員に認知症に関する知識がないと、誤った対応をしてその方の自尊心を傷つけてしまったり、ご家族や入所されている施設との連携がうまく取れないことがあるかもしれません。認知症への理解がある職員がいればそのような時でも適切な対応ができますし、近隣住民の方も安心してサービスを利用したりお買い物ができることでしょう。
認知症サポーター養成講座の内容
認知症サポーター養成講座では、専用のテキストが配布され、つぎの基本となるカリキュラム内容をベースに講義が行われます。
認知症サポーター養成講座 基本カリキュラム
基本となる内容 | 標準時間 |
---|---|
|
15分 |
|
30分 |
|
30分 |
|
15分 |
野田市役所の例(千葉県)
ここからは、2023年6月16日に開講された千葉県野田市の認知症サポーター養成講座についてご紹介いたします。
野田市では、認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりを目指し、市内で2万人の認知症サポーターを養成することを目標に、市役所で年に4~5回認知症サポーター養成講座を開催しています。
この日の講座は10時から11時半までで、若い方から年配の方まで様々な年代、性別の方がいらっしゃっていました。講師には同市内の介護老人保健施設野田ライフケアセンターで、施設ケアマネジャー兼理学療法士として活躍されている市原様がご登壇されました。
前述した基本カリキュラムをベースに、実際に市原様が施設で認知症のご利用者と接していて起きたことや感じたこと、認知症の症状が出た際に有効であった具体的な対応を交えて認知症について解説して下さり、認知症の方と接したことのない方はイメージがしやすく、認知症の方が身近にいらっしゃる方は「あるある!」と共感したり、新たな発見をしながら受講をされていました。
途中、受講者全員で30秒間に何回立ち座りができるかを計測することで筋力レベルを検査する立ち座りテストを行うという、理学療法士の講師の先生ならではの要素もありました。
運営ご担当者様曰く、講師の方の専門分野や所属施設によって、講座の雰囲気や内容が変わってくるのも認知症サポーター養成講座の面白いポイントの1つだそうです。
講座終了後は、講師の先生の親しみやすいお人柄からか、たくさんの受講者の方たちが質問されている様子が見られました。
次回の野田市役所の認知症サポーター養成講座は9月15日を予定しています。
認知症に関しての豊富な知識を持つ講師の先生から、直接お話しを聞ける貴重な機会です。認知症の方を身近に持つ方もそうでない方も、少しでもご興味のある近隣住民の方は是非受講してみてはいかがでしょうか。
認知症サポーター養成講座開催日程
- 日時
- 令和5年9月15日(金曜日)
10時から11時30分まで
- 場所
- 野田市役所2階中会議室1・2
- 受付開始
- 令和5年9月5日(火)から電話か直接高齢者支援課へ
オレンジリングとは?
認知症サポーター養成講座を受講すると、「認知症の人を応援します」という意思を示す目印であるオレンジリングがもらえます。
私も早速身に着けてみました
手首に通して身に付けるほか、手提げやリュックなどの荷物に下げることで「私は認知症サポーターです」と示すことができます。
おわりに|認知症サポーターになって家族や地域を支えよう!
ここまで認知症サポーターについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
認知症の方は今後も増えていくことが予測されており、これから家族や地域が支えていかねばならない時代がやってきます。認知症サポーター養成講座では、認知症の症状や特徴から接し方など、基本的なことを無料で学ぶことができます。認知症の方が身近にいない方は入口としてとてもわかりやすいですし、認知症の方が身近にいらっしゃる方は新たな発見が得られるかもしれません。また、似た境遇の方と出会えたりもして、心が軽くなることもあるでしょう。
認知症サポーター養成講座は誰でも気軽に受講することができる講座です。少しでも気になる方はお近くの自治体に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
杉山 貴子
介護ロボットメーカー勤務。カスタマーサクセスを担当。
介護に関するコラム記事を執筆中。