【介護度別解説シリーズ】
要支援2とはどのような状態? ケアプラン例も一緒にご紹介!
はじめに|要支援2とは?
要支援2は要支援・要介護区分(7区分)において2番目に介護度が低く、「要介護認定等基準時間が要介護認定等基準時間が32分以上50分未満またはこれに相当する状態」とされています。
要支援2は、基本的な日常生活動作(食事・排泄・入浴)では自立している方が多いですが、手段的日常生活動作(IADL=電話、食事の支度、買い物など)の一部で、見守りが必要な状態です。
また、歩行や立ち上がり場面などで見守りが必要となり、今後の病気・障害の発生によって介護が必要となり得る状態を指します。
この記事では、要支援1や要介護1との違い、要支援2の実際のケアプラン例などを紹介いたします。要支援2について詳しく知りたい方は是非ご覧ください。
要支援1と要支援2の違いとは?
要支援1との違い
要支援1と要支援2はいずれも、多くの介護を必要としない状態ではありますが、要支援2の方が日常生活に若干の不安があります。
立ち上がり、トイレ、入浴などは一人でできるものの、見守りまたは一部の介助が必要です。
要介護1との違い
要介護1は、要支援2よりも介護を必要とする状態です。
要介護1では、心身機能の低下により起き上がり・立ち上がり、日常生活動作の各場面で不安があります。
片足での立位や一人での買い物が難しくなり、部分的な介助が必要となる状態だといえます。
要支援1、要支援2、要介護1の違いをまとめると次のとおりです。
内容 | 要支援1 | 要支援2 | 要介護1 |
---|---|---|---|
立ち上がり | 一人でスムーズにできる | 一人でできるが、スムーズに行うためには一部介助が必要 | 一人でできるが要支援1・2と比べると時間がかかる |
トイレ | ほぼ自立 | ほぼ自立だが見守りが必要 | 一人でできるが見守り、または一部の介助が必要 |
入浴 | ほぼ自立 | ほぼ自立だが若干の不安あり | 一人でできるが一部介助が必要 |
要支援1について
知りたい方はこちら!
要支援1とはどのような状態?要支援2と何が違う?
要支援2のケアプランとは?
要支援2と判定された方は、どの種類の介護保険サービスを利用することができるのでしょうか。ここでは、要支援2の方がご自宅で生活する場合のケアプラン例を示し、その費用について説明します。
要支援2のケアプラン例
サービス名 | 利用頻度 | 費用(※自己負担) |
---|---|---|
介護予防訪問入浴介護 | 月に4回 | 38,400円(3,840円) |
介護予防通所リハビリテーション | 1ヵ月につき | 46,610円(4,661円) |
介護予防短期入所療養介護 | 月に1回 | 9,590円(959円) |
介護予防福祉用具貸与 | 1ヵ月につき | 7,260円(726円) |
計 | 101,860円(10,186円) |
※利用者の自己負担割合が1割の場合
参考:「介護サービス概算料金の試算」厚生労働省
要支援2の支給限度額
介護保険では、要介護区分に応じて月ごとの支給限度額が定められています。
要介護区分 | 支給限度額 |
---|---|
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
要支援2は居宅サービスの支給限度額が「105,310円(※自己負担は10,531円)」と定められており、利用者は支給限度額の範囲内でサービスを利用するのが一般的です。この支給限度額は要介護度と比例しており、要介護度が上がれば支給限度額も上がる仕組みになっています。
※利用者の時負担割合が1割の場合
支給限度額を超えてサービスを利用した場合、超過分は介護保険制度が適用されません。よって、超過した部分の費用については、利用者が全額自己負担しなければならないため注意が必要です。
要支援2に関するよくある質問
ここでは、要支援2に関する「よくある質問」を紹介します。
要支援2で一人暮らしをする際の注意点は?
要支援2と認定された方は(心身の状態にもよりますが)、基本的な日常生活動作は自立している部分が多いため、一人暮らしを続けることは可能です。
ただし、要支援2は、要支援1の方よりも見守りや一部の介助が必要な状態なので、一人暮らしを継続するならば、積極的に介護予防サービスを利用して、無理のない日常生活を送るようにすることが大切です。なぜなら、これらのサービスを適切に利用することで、要介護状態になることの予防(身体機能や健康の維持等)が期待できるからです。
予防を心がけていても加齢に伴って心身機能は低下するため、やがて足腰を痛めたり、認知症を患ったりするリスクはあります。よって、適度に介護サービスを利用したり、家族の力を借りたりしながら、できるだけ一人暮らしを続けられるよう工夫するとともに、今後一人暮らしが難しくなった場合にどのように生活するかを考えておくのも大切でしょう。
要支援2と判定されたら施設入居を検討すべき?
要支援2と判定されたからといって「今すぐ施設へ入居した方が良い」とはなりません。しかし、現在はある程度自立していたとしても今後の心身機能の低下に備えて、介護施設へ入居する選択もあります。
先に説明したとおり、要支援2でも入居できる施設はあります。施設に入居することで日常生活上の不便や不安が軽減される一方、費用負担の問題などのデメリットもあります。今後の生活を見据えて、まずは情報を収集する目的でご家族と相談して見学に行ってみると良いでしょう。
なお、要支援2の方が入居できる有料老人ホームには、介護付有料老人ホーム(介護付きホーム)と住宅型有料老人ホームがあります。利用者は施設に入居しながら、必要に応じて外部の介護サービスを利用することも可能です。
有料老人ホームについて
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1日の流れや特徴などのポイントをわかりやすく解説!
介護予防サービスを利用する流れは?
要支援2の方が介護予防サービスを利用する場合には、まず地域包括支援センターに連絡します。その後、地域包括支援センターに所属する介護支援専門員(ケアマネジャー)が利用者の状態やニーズに合った介護予防ケアプランを作成してくれるので、それに沿って介護予防サービスを利用することができます。
自分のニーズに適う介護予防ケアプランを作成するためには、介護支援専門員(ケアマネジャー)との面談のなかで、ご自身とご家族の希望や生活上の課題、将来の目標などを伝えることが大切です。
おわりに|要支援2は介護予防が重要!
要支援2の方は自宅で生活を継続することは可能ですが、加齢に伴い心身機能が低下し、病気にかかって後遺障害が残るリスクもあります。
できる限り健康で自立した状態を維持できるように次の事項を心がけて下さい。
- 栄養価の高い食事を摂取し、健康状態を保つ
- 適度な運動を続け、身体機能の低下を防ぐ
- 近隣の人たちと触れ合い、社会的交流を図る
- 介護予防サービスを適切に利用する
介護予防サービスに含まれる「介護予防通所リハビリテーション」では、適度な運動・機能訓練を行うことができ、かつ他の利用者と関わることもできます。まずは週に1度からでも利用してみてはいかがでしょうか。
介護予防サービスに関して疑問を感じた場合や、日常生活上で困ったことがあれば、お近くの地域包括支援センターに相談しましょう!
参考資料
笑和
現役の大学教員として社会福祉士・介護福祉士の養成教育に携わる。
福祉人材の教育は約20年のキャリアを持ち、医療・介護・福祉だけでなく、年金や健康保険などの社会保障全般にも精通している。
大学で教鞭を取る傍ら、福祉系専門学校の非常勤講師を務め、福祉系の国家資格応援ブログで情報を発信するなど、多方面で活躍中。