『遠距離介護』で気を付けたい3つのこと
-見守りシステムの活用がおすすめ!-

『遠距離介護』で気を付けたい3つのこと  -見守りシステムの活用がおすすめ!-

はじめに

今までは元気に過ごしていても、とつぜん親の介護が必要になることがあります。その際に、同居していたり近くに住んでいれば身の回りの世話をしたり駆けつけることもできますが、離れて暮らしていると難しくなります。
親と離れて暮らす家族が介護を行うことを『遠距離介護』と言いますが、遠距離介護には特有の難しさがあり悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

今回は、この『遠距離介護』について悩んでいる方に向けて、気を付けたい3つのことを紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。

『遠距離介護』で気を付けたい3つのこと

1.連絡をこまめに取る

遠距離介護をしていくうえで大切なのは、親の状況を小まめに確認することです。
確認する時は具体的に聞き取るようにしてください。例えば、膝が悪く歩くことが不便であれば、「今日は膝の痛みはどう?どれくらい痛むの?」「歩く時に不安はない?」「歩いていてつまずきやこけたことはない?」など、膝の状態を具体的に把握し、膝の痛みが原因で起こり得ることを予測して尋ねるのがよいでしょう。大雑把に体調を確認するのではなく、その人がもつ病気や障害など心身の状態に合わせ、起こり得ることを聞き取るのがコツと言えます。
もし、どんなことが起こり得るのかがわからない場合にはかかりつけの医師や介護支援専門員などの専門職に尋ねてみてください。

上記では、親本人を中心に考え連絡をとる場合についてお伝えしましたが、遠距離介護となるともうひとつ抑えておきたいポイントがあります。
それは「近くに住む他人」と連絡を小まめにとることです。本人の主張が必ずしも正しいケアに繋がるとは限らないことがあるからです。それは介護者であるあなたへの気遣いや、認知能力が低下しており冷静に自身の状態を把握できていないなどが理由です。客観的に日々の親の様子を見てくれる「近くに住む他人」とこまめに連絡をとり、状態を把握するのがよいでしょう。

では、どういった人が「近くに住む他人」となるのでしょうか。
身近なところで言えば、本人や家族の友人、隣組など地域の自治会が当てはまります。その他には、地域ごとにいる民生委員、新聞の配達員、郵便局、移送販売、マンションやアパートに住んでいるようなら管理人も事情を話せば協力を得られる可能性は十分にあるでしょう。本人かかりつけの医師や担当の介護支援専門員、利用している介護事業所があれば連絡をしても快く応じてくれるはずです。可能であれば、できるだけいろいろな人と連絡を取り合い親の様子を知る(気をつけてくれる)人を増やし、情報の網の目を細かくすることをおすすめします。

2.緊急時の対応を事前に考えておく

遠距離介護の場合、特に心配なのが「室内での転倒」や「体調の急な変化」など突発的な出来事ではないでしょうか。高齢者は個人差があれども多くの方が心身に疾患や障害を持っています。体調も変化しやすいので何かあった時に備え事前の対応策を考えておくのが大切です。

具体的な対策として言えるのが、上記でもお伝えした「近くに住む他人」を頼ることです。いろんな人が親に関わってくれると緊急時の対応を依頼できることや、いち早く変化に気づき事故を予防することができるなどの利点があります。「うちの親は○○が悪く、○○のようなことが起こるかもしれないので気をつけていただけると嬉しいです」と日頃から「近くに住む他人」と言える方々に伝えておくとよいでしょう。

介護保険を利用できるのであれば、介護支援専門員と相談して何かあった際の対応方法を決めておくこともできます。これら以外にも、市町村が行っている緊急通報システムや一般の会社がサービスの提供をしている駆けつけサービスや見守りシステムを利用するのもひとつです。また、成年後見制度を利用し、何かあった際に代わりに対応をしてくれる人を決めておくのもよいかもしれません。

3.お互いの気持ちを尊重する

遠距離介護にかかわらず介護全般に言えることではありますが、親の気持ちと介護者の気持ちを尊重するようにしましょう。
例えば、親は「住みなれた自宅で暮らしたい」という気持ちをもっているとします。しかし、子供は親の認知度の低下や身体の状態などをふまえて、親に自宅を離れてもらい同居をすることが望ましいと思っています。この時点では互いの気持ちは相反している状態です。こういった場合にまずしてほしいのが「お互いの気持ちを尊重しながら話し合う」ことです。もちろん、親の生命が危険にさらされているなどの危険な状態であれば話は変わってきますが、基本的にはじっくりと話しあうことをおすすめします。

実際に、私が介護支援専門員として親本人やそのご家族を支援していると、どちらかの気持ちを尊重せずにものごとを決めてしまい、それぞれ、もしくはどちらかが後悔しているというお話しを聞きます。たとえば、同居したのはよいがそりが合わずに関係が悪くなってしまった、介護の手間が想像以上にかかり負担を感じている、親が環境の変化についてこれず認知能力が大きく低下してしまった、などが後悔の原因になっているようです。繰り返しになりますが、親本人と介護者の気持ちを尊重し、生活と介護について具体的にイメージするようにしましょう。

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見守りシステムを使うという選択肢

ここまで『遠距離介護』をするときポイントを紹介してきました。そのうえで『遠距離介護』の助けとなる手段としておすすめしたいのが、先ほども少し触れた『見守りシステムの活用』です。

見守りシステムにはセンサーやカメラなどいろいろなタイプのものがありますが、共通しているのは離れていても親の行動や安否を確認できるという点です。
親がベッドから離れたことがわかる、部屋の中の様子が映像として見えるなど、見守りシステムを利用しないとわからないことがわかるようになります。見守りシステムで得られる情報はPCやスマートフォンで確認ができることがほとんどなので、いつでも気軽に状態を確認することができます。最近では介護施設をはじめ自宅での介護でもその活用が進んでおり、どちらにおいても介護負担の軽減と安心と安全の確保に役立っています。

見守りシステムを利用すれば危険や不安が100%なくなるというわけではありませんが、見守りシステムを活用することで得られる安心は大きいのではないでしょうか。ただし、人によっては監視されているような感覚を覚える場合もあるので、システムを選ぶ際は親本人がどのように感じるか事前に尋ねておくなどしておくとよいでしょう。株式会社ZIPCAREでも、『遠距離介護』の一助となる製品をご紹介しておりますのでご検討ください。

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おわりに

ここまで『遠距離介護』についてのポイントや対策を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
近年、新型コロナウイルスの流行により人の行き来をについて考えることを求められる時代です。以前のように気軽に自宅を行き来することが難しくなりました。無用な接触をさけることが好ましいとは言え、高齢の親を放っておくわけにはいかず悩んでいる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。今回お伝えした遠距離介護のポイントと見守りシステムの活用が有用であるという情報が、離れていても互いに安心して暮らすことができる一助になれば嬉しく思います。

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有田 和弘

介護の現場で介護スタッフ・介護支援専門員として10年以上の経験を積む。
現在は小規模多機能型居宅介護施設で介護支援専門員として高齢者の生活支援に携わりながら、介護に関する記事を書くライターとしても活動中。

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