居宅介護支援事業所ってどんなところ?
特徴と役割をわかりやすく解説!
はじめに
「介護保険サービスにはさまざまなサービスがあるけれど、
居宅介護支援事業所とは何をしてくれるところなの?」
と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか?
居宅介護支援事業所とは、在宅で介護サービスを利用したい高齢者の相談窓口となる場所です。
事業所にはケアマネジャーが配置され、ケアプランセンターとも呼ばれます。
介護サービスの中でも訪問介護やデイサービスなどは何となく知っていても、居宅介護支援事業所が具体的にどんなサービスを提供しているのか、実際に利用してみないと分かりにくいものです。
そこで、この記事では居宅介護支援事業所の特徴や役割、地域包括支援センターとの違いについてわかりやすくまとめました。
居宅介護支援事業所は、在宅介護を希望する方には頼りになる存在です。上手に活用できるよう、ぜひ参考にしてください。
居宅介護支援事業所とは
居宅介護支援事業所は、要介護者であっても介護サービスを受けながら在宅で生活を続けたい方の支援を行う施設です。
居宅介護支援事業所を設置するには、市区町村から事業所の指定を受けなければいけません。
厚生労働省が定める基準に基づいた適正な運営をすることが義務付けられており、主な経営母体は社会福祉法人、医療法人、株式会社、NPO法人などです。
ケアマネジャーは、利用者の数が35人に対して1人の配置が定められており、事業所の管理者は常勤の主任ケアマネジャーであることが必須とされています。
通常、介護保険サービスを利用するには所得に応じて利用料金を負担する必要がありますが、ケアマネジャーから受ける居宅介護支援サービスには利用者の費用負担はありません。
つまり、ケアマネジャーに介護に関する相談や、ケアプランの作成を依頼してもかかる料金は0円です。
居宅介護支援を利用できる人
居宅介護支援サービスを受けるには、要介護認定を受ける必要があります。
要介護1〜5に認定された方が居宅介護支援サービスの対象です。要介護認定を受けた方には、ケアマネジャーが生活状況やニーズを把握した上でケアプランを作成します。
一方、要支援1・2の方は居宅介護支援ではなく「介護予防支援」の対象です。
介護予防支援も、ケアプランの作成や介護の相談が受けられるのは要介護者と同じですが、介護予防支援の担当窓口は居宅介護支援事業所ではなく、地域包括支援センターになります。
しかし、地域包括支援センターが介護予防のケアプランを委託した場合は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当する場合もあります。
居宅介護支援の利用方法
居宅介護支援サービスを受けたい場合はどうすれば良いのでしょうか。利用できるまでの流れを解説します。
① 要介護認定を申請して認定を受ける
介護保険サービスを利用するには、まず要介護認定を受けなればなりません。
要介護認定の申請は市町村に行いますが、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者に申請を代行してもらうことも可能です。
申請後は介護認定調査を受けます。認定調査は市町村の職員、あるいは市町村から委託されたケアマネジャーが自宅に訪問し、心身の状況などについて聞き取り調査をします。
また、申請には主治医の意見書も必要です。
申請書にかかりつけ医を記載しておけば、市町村から主治医のもとへ介護意見書が依頼されます。かかりつけの主治医がいない場合は市区町村が指定する医師のもとで診察を受けなければいけません。
認定調査の結果と主治医意見書をもとに要介護度が決定し、介護保険証が届きます。
② 居宅介護支援事業者の選定
居宅介護支援事業者を選ぶ際には、市町村の窓口や地域包括支援センターで居宅介護支援事業者を紹介してもらえます。
一度契約した事業所や、担当のケアマネジャーが合わない場合は変更してもらうことも可能です。最適な介護支援を受けるために相性の良い事業所やケアマネジャーを選びましょう。
居宅介護支援事業者を選定し契約書を交わしたら、介護サービスが利用できるようになります。
ケアマネジャーの役割
居宅介護支援事業者を選定し担当ケアマネジャーが決まったら、どのようなサービスが受けられるのでしょうか。
ケアマネジャーの役割・仕事内容を紹介していきます。
① ケアプランの作成
ケアマネジャーの役割の要はケアプラン作成です。
ケアプランがなければ介護保険サービスの利用ができません。
ケアプランを作成する際は担当のケアマネジャーが自宅に訪問し、心身の状況や生活環境、ご利用者のニーズを把握し課題を分析します。課題を解決できるようにプランが作成されるので、生活における希望や不安に思っていることはしっかり伝えておきましょう。
② サービス提供事業者との連絡・調整
ケアプランの目標を設定したら必要な介護サービスを決定します。
自宅での家事や身の回りの世話を希望する場合は訪問介護、他者との交流などで生活を活性化させたい場合はデイサービスなど、その方に必要なサービスを相談しながらスケジュールを組みます。
ご利用者がサービスをスムーズに受けられるように、サービス提供事業者との連絡や調整をするのもケアマネジャーの役割です。ケアマネジャーは、ケアプランの内容に沿ったサービスが提供されるように、ケアプランの情報をサービス提供事業者と共有します。
③ 毎月のモニタリング・プランの見直し
介護サービスの利用が開始されたら、ケアマネジャーがご利用者宅に訪問し、現状の確認が行われます。これをモニタリングと言い、最低でも月に1回以上の訪問が必須です。
定期的なモニタリングにより心身の状況や環境の変化を把握し、新たなニーズはないかを聞き取った上で、介護サービスの変更が必要と判断した場合はケアプランの見直しをします。
④ ご利用者・ご家族からの相談業務
ケアマネジャーは、ご利用者やご家族からさまざまな相談を受け、その内容は多岐にわたります。ご利用者の困りごとに対して、外部機関と連携をとりながらサポートするのもケアマネジャーの役目です。
介護保険で利用するサービス提供事業者との調整以外にも、介護度の変更が必要になった場合は、市町村に区分変更の手続きをしたり、生活困窮者には生活保護申請の手続きを補助したりする場合もあります。
公的サービス以外にも近隣住民や民生委員、ボランティアなどのインフォーマルサービスを利用することも。また、施設への入居が必要になったら入居施設の紹介や関係各所との連絡調整もします。
ケアマネジャーが全てを解決できるわけではありません。
対応しきれないケースは必要な機関へつなぎ、解決できるように提案していくのもケアマネジャーの役割です。
合わせて読みたいケアマネジャーのお仕事
地域包括ケアシステムで大きな役割を果たすケアマネジャーの仕事とは?
居宅介護支援事業所と地域包括支援センターの違い
居宅介護支援事業所と地域包括支援センターは、在宅で過ごす高齢者の支援を行う点では同じ役割です。
では、どのような違いがあるのでしょうか。ここからは地域包括支援センターの特徴についても解説します。
地域包括支援センターの役割
居宅介護支援事業所が要介護1以上の高齢者のケアプランを担当するのに対して、地域包括支援センターは、地域に住む高齢者の困りごとに幅広く対応しています。
高齢者本人や家族はもちろん、近隣住民などの相談も受け付ける総合相談窓口です。
地域包括支援センターには、
- 総合相談
- 介護予防ケアマネジメント
- 包括的・継続的ケアマネジメント
- 権利擁護
地域の高齢者が住み慣れた場所で生活し続けられるよう、さまざまな側面から生活を支えます。
地域包括支援センターの人員基準
地域包括支援センターには、その役割からケアマネジャー以外の専門職の配置が義務付けられているのも特徴です。
主任介護支援専門員や保健師、社会福祉士が配置され、連携しながら生活全般の相談に対応しています。
おわりに
今回の記事では、居宅介護支援事業所の特徴や役割、地域包括支援センターとの違いなどについて解説しました。
居宅介護支援事業所や地域包括支援センターは介護が必要になってきたときに対応してくれる窓口です。
どこに相談したら良いのかわからない場合も必要な支援につないでくれるので、困ったことがあればまず相談してみましょう。
在宅介護でもお使いいただける見守りロボットはこちら
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、ウェブメディアなどで執筆中。