はじめてで不安な方必見!訪問入浴介護とは?
当日の具体的な流れや利用まで手続きを徹底解説!

はじめてで不安な方必見!訪問入浴介護とは?  当日の具体的な流れや利用まで手続きを徹底解説!

はじめに

訪問入浴介護(以下、訪問入浴)とは、自宅の浴槽では入浴が困難な方を対象に、専用の浴槽を運び入れ自宅で入浴を行う介護サービスです

しかし、訪問入浴の利用を検討していても
「ケアマネージャーの説明を把握しきれなかった」
「結局、利用するまでの手続きは何をすれば良い?当日の流れはどうなるの?」
などの悩みを持ってはいませんか?

本記事では、「訪問入浴の利用を検討しているけど、イマイチサービス内容が把握できていない」方に向けて、次の内容を解説します。

  • 訪問入浴の当日の流れや所要時間、利用開始までの手続き
  • 訪問入浴にかかる費用やサービス以外の費用
  • 訪問入浴のメリット・デメリット

本記事を参考にして、トラブルなく訪問入浴を利用しましょう。

また、「本人の身体の調子が悪くなってきたので、家族不在時の様子が不安…」と悩んでいる方は、弊社が提供する在宅向け見守り介護ロボット「まもる~ONE」も是非一度ご参照ください。

訪問入浴介護とは?

訪問入浴とは、自宅で入浴困難な方を対象に、専用の浴槽を詰んだ入浴車で自宅を訪問して、看護職員や介護職員で入浴介助を行うサービスです。

看護職員1人と介護職員1〜2人で訪問し、次のサービスを行います。

  • 全身浴・部分浴・清拭
  • 体温・血圧・脈拍・spo2(血液内の酸素濃度)などの
    体調チェック
  • 衣服の着脱
  • 軟膏塗布や湿布貼付

介護保険が適用されるため、利用限度額内であれば自己負担を1割にできます
ただし、所得によっては、自己負担が2〜3割になる場合があるため注意が必要です

なお、訪問入浴では、「褥瘡(床ずれ)処置や喀痰吸引、摘便」などの医療行為はできないので注意しましょう。

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訪問入浴介護の当日の流れと所要時間は?

訪問入浴当日は、次の流れで進みます。

  1.  1.自宅訪問と浴槽の運び入れ
    • 予定していた時間に職員が自宅へ訪れる
    • 専用の浴槽やそのほか物品を運び入れる
  2.  2.健康状態のチェック
    • 浴槽の準備の間に健康チェック (体温・血圧・脈拍・spo2の測定)を行う
  3.  3.脱衣とお湯の準備
    • 看護師が入浴可能か判断する
    • 入浴可能であれば、衣服の脱衣やお湯の準備を始める
  4.  4.入浴
    • 脱衣後、ベッドから浴槽へ移り入浴を始める
    • 洗髪・全身洗浄・陰部洗浄後、上がり湯をして浴槽からベッドへ移る
    • ご利用者の健康状況や希望により、部分浴や清拭に切り替える
  5.  5.着衣と健康状態のチェック
    • 着衣を行いながら、軟膏の塗布などの保湿ケアも行う
    • 入浴後、健康チェックを行う
  6.  6.片づけ
    • 浴槽の引き上げ、物品の片付けを行う
    • 申し送りノートなどを記入し終了となる

所要時間は合計50分前後であり、それぞれの所要時間は次のとおりです。

  • 浴槽の運び入れ・健康状態のチェック・脱衣とお湯の準備:20分前後
  • 入浴:10分前後
  • 着衣・健康状態のチェック・片付け:20分前後

ご利用者の状態や処置内容により、時間が前後するのを考慮しましょう。

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訪問入浴介護にかかる料金目安や利用頻度

訪問入浴は、要支援や介護度、サービス内容により料金がかわります。
ここからは、訪問入浴の「利用料金目安と利用頻度」を解説します。

料金目安

訪問入浴の利用料金目安は、事業所や提供体制、サービス内容により異なります。

ただ、基本的な報酬は定められており、独立行政法人福祉医療機構が運営する総合情報サイト「WAM NET」を参考にすると次のとおりです。

看護師1人・介護職員1〜2人の訪問入浴の料金目安
(自己負担割合は1割の場合)
要支援
1〜2
要介護
1〜5
全身浴(洗髪・全身洗浄・陰部洗浄) 1回につき
852円
1回につき
1,260円
清拭・部分浴 1回につき
767円
1回につき
1,134円

参考:独立行政法人福祉医療機構 WAM NET 訪問入浴介護介護予防訪問入浴介護

利用料金の詳細を確認したい場合は、各事業所や地域包括支援センター、担当ケアマネジャーに確認しましょう。

利用頻度

訪問入浴の利用頻度は要介護度の状況やご利用者の状況により異なります。
ほとんどの場合は、週に1〜2回の利用となるでしょう。

もちろん、ご利用者の希望など必要に応じて利用回数を増やすことも可能です。
また、介護保険の利用限度額内に収めたい方は、担当ケアマネージャーに相談しましょう。

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訪問入浴介護の利用条件や対象者は?

訪問入浴を利用するための条件は次のとおりです。

  • 要介護1〜5・要支援1〜2の認定を受けている
  • 主治医からの入浴の許可が下りている

また、人工呼吸器や人工肛門などの医療機器を使用している方でも、主治医から許可が下りていれば入浴可能です。

入浴の可否の判断で不安を感じる方は、入浴してはいけない「血圧・脈拍・spo2」などの具体的な数値を確認しましょう。

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訪問入浴介護はどのような人におすすめ?

入浴の介助はご利用者だけでなく、ご家族などの介護側にも大きな負担となります。
そのため、訪問入浴の利用は次の場合におすすめです。

  • 寝たきりのため入浴が困難である
  • 歩行が不安定であり転倒リスクが高い
  • ご家族の介護負担が大きい
  • 血圧や脈拍など体調変化に不安がある

訪問入浴は、専門知識を持つ看護職員や介護職員が入浴介助を行うため、転倒リスクや入浴による重症化などのリスクを最小限にできます

訪問入浴を利用すれば、ご利用者だけでなくご家族も負担なく入浴の時間を過ごせるでしょう。

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訪問入浴介護のメリット5つ

訪問入浴のメリットは次の5つです。

  1. 身体の清潔を保てる
  2. 身体機能の維持・向上ができる
  3. リラクゼーション効果がある
  4. ご利用者やご家族の負担が軽減できる
  5. 介護保険が適用されている

ここからは、訪問入浴で得られるメリットを解説します。

1.身体の清潔を保てる
訪問入浴を利用すれば、寝たきりの方でも自宅で全身浴が可能です。
それにより、不衛生になりやすい陰部を十分に洗浄でき、陰部からの感染症や皮膚トラブルのリスクを軽減できるでしょう
2.身体機能の維持・向上ができる
全身浴によって全身を温めることで、全身の血行や新陳代謝の向上ができます。
その結果、ご利用者の便秘の解消や関節痛、むくみの軽減などの効果があるでしょう
3.リラクゼーション効果がある
入浴は身体の緊張をやわらげ、リラクゼーション効果を得られます。
そのため、ご利用者のストレス軽減や睡眠の質の向上が期待できるでしょう
4.ご利用者やご家族の負担が軽減できる
入浴介助はご利用者やご家族にも負担が大きいです。
専門の職員が入浴介助を行えば、ご利用者とご家族両方の負担を軽減できるでしょう
5.介護保険が適用されている
訪問入浴は、介護保険が適用されます。
そのため、自己負担額は利用限度額まで1割で済みます
だたし、一定以上の所得者は2割〜3割になるため注意しましょう。

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訪問入浴介護のデメリット4つ

訪問入浴のデメリットは次の4つです。

  1. 訪問介護と比較すると費用が高い
  2. 医療行為は受けられない
  3. 複数の職員に裸を見られるため羞恥心を感じやすい
  4. 入浴車の駐車スペースが必要である

ここからは、訪問入浴のデメリットを解説します。

1.訪問介護と比較すると費用が高い
訪問入浴は、訪問介護の身体介護サービス(入浴・排せつ・食事など)と比較すると利用料金が高いです
実際に、訪問入浴は全身浴で1回につき1,260円(要介護1〜5)かかります。
一方、訪問介護は30分〜1時間で396円です。
とはいえ、訪問介護の入浴介助と比較すると、訪問入浴はご利用者の負担も少なく安全に入浴が行えるため、妥当な料金と考えて良いでしょう。
2.医療行為は受けられない
訪問入浴は看護職員も同行しますが、褥瘡ケアや喀痰吸引などの医療行為は行えません
しかし、緊急時は救急車の要請や主治医への連絡など、適切な対応を行ってくれるでしょう。
3.複数の職員に裸を見られるため羞恥心を感じやすい
訪問入浴は、通常の入浴介助よりも職員の数が多いため、ご利用者は羞恥心を感じやすいです
とはいえ、職員は陰部などをタオルで隠したり目線に注意したりと、ご利用者への配慮をしながら介助を行ってくれますのでご安心ください。
4.入浴者の駐車スペースが必要である
訪問入浴は、入浴車で自宅へ伺うため駐車スペースが必要です
万が一駐車スペースがなくても、駐車許可証を発行するなどの対応方法はあります。
気になる場合は、一度担当ケアマネージャーに相談してみましょう。

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訪問入浴介護を選ぶ際のポイント3つ

訪問入浴を選ぶ際のポイントは次の3つです。

  1. 緊急時の対応方法を確認する
  2. キャンセル料・交通費を確認する
  3. 衛生面の管理体制を確認する

ポイントをおさえてトラブルなく、訪問入浴を利用しましょう。

1.緊急時の対応方法を確認する
ご利用者の急変や体調悪化が生じた際に、どのように対応するかの確認は重要です。
緊急時に、救急車の要請や主治医の連絡など「ご利用者がどのような状態になった時に、どのような流れで連絡するか」具体的な連絡体制を確認しましょう
2.キャンセル料・交通費を確認する
訪問入浴は、キャンセル料金やサービス提供地以外で交通費がかかる場合があります
思わぬ出費とならないように、当日キャンセルをした場合の料金や、サービス提供地を超えた場合、何kmごとにいくらかかるのか確認しましょう。
3.衛生面の管理体制を確認する
衛生管理体制が整っているかの確認も重要な要素です。
衛生管理について確認すべきポイントは次の3つです。
  1. 浴槽のお湯はホースにより絶えず新しいお湯に入れ替えているか
  2. 浴槽・機材・備品などを毎回洗浄し消毒も行っているか
  3. 職員は手洗い・消毒を徹底して行っているか
感染症対策を十分に行っている事業所を選択しましょう。

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訪問入浴介護を利用するまでの手続き

訪問入浴の利用までの手続きは、次の流れで進んで行きます。

  1. ケアマネジャー相談
  2. 事業所を探す
  3. 事業所と打ち合わせをする
  4. 事業所と契約

あらかじめ手続きの流れを把握しておき、スムーズに利用を開始しましょう。

1.ケアマネジャー相談
要介護の方が訪問入浴を利用するには、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があります
また、要支援の方は地域包括支援センターに相談しましょう。

ケアマネジャーについてもっと知りたい方はこちら!

地域包括ケアシステムで大きな役割を果たす
ケアマネジャーの仕事とは?
2.事業所を探す
訪問入浴を依頼する事業所を探します。
必要であれば、ケアマネジャーや地域包括支援センターに紹介を受けましょう。
事業所は前述した選び方を参考にして、複数ピックアップし比較検討を行うことをおすすめします
3.事業所と打ち合わせをする
事業所が決まったら、サービス内容や料金の打ち合わせを行います。
不明点があれば、必ず確認しましょう
4.事業所と契約
打ち合わせ後、問題なければ契約です。
事業所により、契約前に滞りなくサービスを行うために自宅を下見する場合もあります。

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訪問入浴介護に関する疑問

訪問入浴を利用するにあたって、次の疑問がめばえませんか?

  1. 入浴拒否が起きた時はどうするの?
  2. サービス以外にかかる費用はある?
  3. お湯はどこから引いてくるの?

ここからは、訪問入浴のよくある疑問を解説します。

入浴拒否が起きた時はどうするの?

介入浴拒否が起きた場合は、決して無理強いはしません。
ご利用者が入浴を拒否された場合の対応は次のとおりです。

  • 「羞恥心によるものか」「タイミングが悪いのか」など拒否する理由を傾聴する
  • 「今日は一番風呂ですよ」など、ご利用者が納得できるキーワードを模索する
  • 無理強いせず足浴や清拭からはじめて入浴を促す
  • ご利用者が女性である場合は同性の職員で対応する

以上のように、関わりのなかでご利用者と信頼関係を築き、可能な限り入浴を促します

サービス以外にかかる費用はある?

入浴サービス以外でかかる可能性のある費用は次のとおりです。

  • シャンプー・石鹸・オムツなどの備品代
  • 給湯器やポンプをさせるための電気代
  • 給水のための水道代

以上の費用は事業所により異なります
契約前に確認しましょう。

お湯はどこから引いてくるの?

訪問入浴に利用するお湯は、自宅の浴室や給湯から引いて入浴車でお湯を沸かします
高層マンションなどの場合は、浴室のお湯を利用します。

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おわりに|訪問入浴介護を利用して介護負担を軽減しましょう

今回は、訪問入浴について解説しました。要点をまとめると次のとおりです。

  • 訪問入浴の所要時間は50分前後である
  • 訪問入浴の料金目安は一回につき700円〜1,200円前後である
  • 転倒リスク寝たきり体調変化の激しい人におすすめである
  • 事業所の選び方は、「緊急時の対応方法・キャンセル料金や交通費の有無・衛生管理方法」を確認する

筆者が訪問入浴の実務を行なっていた際は、ご家族より、
「本人も気持ちよかったと言っており、私どもも良い気分転換になります」
という、お言葉を頂戴した経験があります。

介護のなかでも大きな負担となる入浴に対するサービスは、身体面だけなく精神面でもご利用者やご家族の生活を支える大切な役割を果たしていると感じます
今回の記事により、訪問入浴を利用するきっかけとなれば幸いです。

ご利用を検討している方は、まずはケアマネジャーや地域包括支援センターに相談からはじめましょう。

また、ご家族の立ち上がりや歩行が不安定になったり体調変化が見られたりして、ご家族を1人ご自宅に残すことや、離れて暮らすことに不安を抱いていませんか?
弊社は離れたところでも、ご利用者の生活を見守ることができる「見守りロボットまもる~の」をご提供しています。
気になる方は、ぜひ一度こちらをご参照ください。

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参考サイト

吉沢 仁

専業Webライター。
看護師として病棟勤務や、派遣での施設介護職員や看護職員の経験あり。
看護師経験を活かして、医療・介護のコラム記事を執筆中。
SEOなどのWebマーケティングや、税金や社会保険など金融関係全般にも精通している。

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